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野鳥撮影での EOS 7D 〜 10D 変遷


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このカテゴリでは、キヤノンの APS-Cセンサーのいわゆる中級機モデルの歴史をたどり、野鳥撮影での機材購入検討の参考になればと思います。

 

 

EOS中級機の初代モデルといえる EOSD30(30Dではない) が2000年10月に発売されて以降、このクラスのデジタル一眼レフカメラは販売数を大幅に伸ばし、野鳥撮影に置いてもフィルムカメラからデジタルに移行するかたが年々増えてきました。

 

 

 

デジタル一眼レフカメラは当初、135フィルムと同じサイズのセンサーはコストが大きすぎて、やむなくAPS-Cサイズセンサーでの発売(低コストと言えど当事の EOSD30 は30万円もしました)を余儀なくされましたが、野鳥撮影においてはセンサーサイズが小さい事による画角の狭さ(一般的には望遠効果と呼ばれます)が逆にメリットとされ、他の分野よりも積極的にデジタル化のメリットが謳われていました。

 

現在はフルサイズセンサーのカメラも低価格で発売されるようになりラインナップも豊富となっていますが、1画素当たりの大きさではAPS-Cセンサーモデルの方がまだ小さく解像力と言う点ではAPS-Cセンサーモデルの方が野鳥撮影では有利な面もあります。また、市場的に出荷台数が多くモデルチェンジが頻繁に行われてきたため新しい技術がプロモデルより先に搭載されやすいという点も見逃せないので、その辺りを踏まえてキヤノンのEOS中級機の変遷を見ていきましょう。

 

 

 

 

< EOS 10D >
撮像素子 : 630万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約95%、倍率0.88
フォーカス : 7点
高速撮影 : 約3コマ/秒(バッファ:RAW 約9コマ)
記録媒体 : CF
液晶画面 : 11.8万画素、1.8型
バッテリ : BP-511 リチウムイオン
ライブビュー機能 : なし
動画機能 : なし
発売時期 : 2003年3月

 

 

EOSD30 の後継機であった EOSD60 とほぼ同じスペックながら、販売価格が30万→20万と一気に低価格化がすすみEOSデジタルの普及を一気に進めたモデルです。秒間3コマでバッファは9コマの連写性能でしたがメモリーカードへの書き込みが極端に遅く、9コマ撮ってしまうと60秒近く書き込みが終わるまで待たされると言う仕様で、野鳥撮影においては肝心なシーンはフィルムより撮り逃す可能性が高いなどと揶揄されることもありました。ISO感度も拡張3200まで設定はできるものの、ISO400以上はノイズが非常に多く実質はISO100か200でしか使えないと言うカメラでした。

 

 

 

 

< EOS 20D >
撮像素子 : 820万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約95%、倍率0.9
フォーカス : 9点
高速撮影 : 約5コマ/秒(バッファ:RAW 約6コマ)
記録媒体 : CF
液晶画面 : 11.8万画素、1.8型
バッテリ : BP-511A リチウムイオン
ライブビュー機能 : なし
動画機能 : なし
発売時期 : 2004年9月

 

 

EOS10D の発売から1年半後に発売となったモデルで、多くの面でブラッシュアップがされており非常に人気が高く多くの野鳥カメラマンがこのカメラを買いにお店に走りました。EOS10D より画素数がアップした上に高感度の画質も向上しており、連写性能、AFも性能アップ、10Dで問題だったCF書き込み速度も大幅アップと撮影の基本の部分全てにテコ入れがなされました。EOS20Dで新採用されたひし形の9点AFは2012年現在の現行モデルであるEOS60Dでも継承されて続けています。

 

半年前に EOS-1DMarkU が発売されていて裕福なカメラマンは既にそちらを使っていましたが、低価格で野鳥撮影に使えるカメラという点ではこの EOS20D が原点であったと思います。EOS-1DMarkU はAPS-Hセンサーであったため、所有者でも EOS20D を追加購入する方がほとんどでした。画素数と高感度の両方の性能がアップするという事は現在ではなかなか見られない現象で、当事の技術の進歩のスピードは極めて早かったと言えるでしょう。

 

 

 

 

< EOS 30D >
撮像素子 : 820万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約95%、倍率0.9
フォーカス : 9点
高速撮影 : 約5コマ/秒(バッファ:RAW 約11コマ)
記録媒体 : CF
液晶画面 : 23万画素、2.5型
バッテリ : BP-511A リチウムイオン
ライブビュー機能 : なし
動画機能 : なし
発売時期 : 2006年3月

 

 

センセーショナルなEOS20Dの発売から1年半後に発売となったモデルです。基本スペックはEOS20Dと大差無く、目立つところでは液晶モニタの大型化とバッファ増程度の小変更にとどまりました。細かいところではピクチャースタイルの採用、スポット測光機能、ISO感度の1/3段ステップ設定、パソコンなしでプリントできるピクトブリッジ機能などが新採用となりました。野鳥撮影ではEOS20Dと比べて目立って有用な機能が増えていないので、買い替える方は余り多くありませんでしたが、今では当たり前となっているソフト面の充実にこの頃からテコいれがなされるようになりました。

 

 

 

< EOS 40D >
撮像素子 : 1010万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー、クリーニング機能)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約95%、倍率0.95
フォーカス : 9点AF(全点 F5.6対応クロス)
高速撮影 : 約6.5コマ/秒(バッファ:RAW 約17コマ)
記録媒体 : CF
液晶画面 : 23万画素、3.0型
バッテリ : BP-511A リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(AF不可)、電子先幕シャッター
動画機能 : なし
発売時期 : 2007年8月

 

 

EOS30D の発売から1年半後に発売となったモデルで、さまざまな機能が盛り込まれた待望の中級機です。画素数アップ、センサークリーニング機能、9点AFのオールクロス化、秒間6.5コマへと連写性能アップと大幅にブラッシュアップされました。中でも特筆すべきは初の2モーターシステム&電子先幕シャッターのライブビュー機能が搭載されたことです。野鳥撮影においては止まり物撮影がこの機能により激変しました。液晶モニターで10倍拡大して厳密にピントを合わせ、電子先幕シャッターでカメラ側の振動をほぼ発生させずに撮影ができるようになり、今までとはまるで違うクオリティの写真が撮れる様になっています。

 

耐ノイズ性能はアップせず、画素数が増えたため高感度の画質はEOS20D・30Dの方がよいという声が殆どでしたが、画期的な2モーターシステム&電子先幕シャッターによるライブビュー機能の搭載はそんな僅かなマイナス点をはるかに凌駕するもので止まり物の撮影に関してはこの EOS40D の発売からキヤノン機がベストという地位が現在までゆるぎないものとなっています。

 

 

 

< EOS 50D >
撮像素子 : 1510万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー、クリーニング機能)
ISO感度 : 常用100〜3200(12800まで拡張可)
ファインダー : 視野率約95%、倍率0.95
フォーカス : 9点AF(全点 F5.6対応クロス)、微調整機能あり
高速撮影 : 約6.3コマ/秒(バッファ:RAW 約16コマ)
記録媒体 : CF(UDMA対応)
液晶画面 : 92万画素、3.0型
バッテリ : BP-511A リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)、電子先幕シャッター
動画機能 : なし
発売時期 : 2008年9月

 

 

EOS40D の発売から1年後に発売となったモデルです。2007年後半はニコンから D3やD300 などのセンセーショナルなカメラが相次いで発売となり、キヤノン独占状態が既に揺らいでいた年代でもあったため、わずか1年での EOS50D 発売はそのような裏事情でモデルチェンジのサイクルが早められたのではないかと憶測されていました。

 

EOS50D は基本EOS40D を踏襲していますが、1510万画素&ISO12800まで拡張可と画質面に関して大幅なブラッシュアップが行われました。このころの画質向上のプロセスはセンサー性能ではなくノイズリダクションの機能向上によるものが大半を占めており、高感度の設定はできるものの解像感が失われたり、低感度でもノイズが目立つなど高画素化の弊害も話題になりました。カタログスペック的には大幅な向上を実現しているものの実際に撮影した画像は『?』という印象が残るカメラでもあります。

 

他では上級機にしかなかったフォーカス微調整機能の搭載、92万画素の高精細液晶モニターの採用、CFのUDMA対応化、ライブビューのコントラストAF機能、オートライティングオプティマイザ、周辺光量補正など細かいところでも新機能が搭載されています。

 

 

 

 

< EOS 60D >
撮像素子 : 1800万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー、クリーニング機能)
ISO感度 : 常用100〜6400(12800まで拡張可)
ファインダー : 視野率約96%、倍率0.95
フォーカス : 9点AF(全点 F5.6対応クロス)
高速撮影 : 約5.3コマ/秒(バッファ:RAW 約16コマ)
記録媒体 : SD(SDXC対応)
液晶画面 : 104万画素、ワイド3.2型、バリアングル
バッテリ : LP-E6 リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)、電子先幕シャッター
動画機能 : 搭載(1920×1080で30p、1280×720で60p)
発売時期 : 2010年9月

 

 

EOS50D の後継モデルは実質 EOS7D とされており、EOS60D は名前こそEOS50D の後継ですが、これまでの中級機とは少々カテゴリポジションの異なるカメラとなって発売されています。記録メディアがSDカード採用に変更されていることもあり、エントリーモデルのKISSシリーズからステップアップするカテゴリのカメラと言えるでしょう。EOS50Dとの比較では、連写性能のダウンはあるもののEOS初のバリアングル液晶採用、劣化度等の確認ができる新バッテリー、操作系を右側に集中した新インターフェイス、1800万画素センサー採用と新しい試みが随所に採用されています。

 

後の EOS7D の項目でも触れますが、この1800万画素APS-Cセンサーはセンサー自体の性能がEOS50Dより大幅に向上しており、ノイズリダクションの技術も加わって画質面では大幅に向上しています。バリアングル液晶は野鳥撮影で特に有用なローポジション撮影に絶大な効力を発揮するため、撮影状況によっては EOS7D よりもこちらの方を使いたい場面もあると思います。

 

 

 

< EOS 7D >
撮像素子 : 1800万画素COMSセンサー(x1.6倍画角APS-Cセンサー、クリーニング機能)
ISO感度 : 常用100〜6400(12800まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率1.0
フォーカス : 19点AF(全点 F5.6対応点クロス)、微調整機能あり
高速撮影 : 約8コマ/秒(バッファ:RAW 約23コマ)
記録媒体 : CF(UDMA対応)
液晶画面 : 92万画素、ワイド3.0型
バッテリ : LP-E6 リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)、電子先幕シャッター
動画機能 : 搭載(1920×1080で30p、1280×720で60p)
発売時期 : 2009年10月

 

 

EOS50Dの発売から約1年後に発売となった、APS-Cセンサー初と言える高速連写機です。秒間8コマの連写に加え面で被写体を捉える19点AFもイオスデジタルではEOS-1D、EOS-1Ds系以外では初めて採用となり多くの野鳥カメラマンにとって待望のモデルとなりました。他にも視野率100%ファインダー、CFのUDMA対応、電子先幕シャッター採用のライブビュー、電子水準器、フルHDの動画と実売20万以下のカメラに当事の持てる技術を全てつぎ込んだ印象すらあるカメラです。

 

発売当初は高感度はもちろんの事低感度でも画質がよくないと評判が悪かったのですが、2010年春以降の出荷ロットではセンサーに改良が行われているようで、特にISO1600以上の画質が大幅に向上しており野鳥撮影のカメラとして隙のない非常に完成度の高いカメラと言えるでしょう。

 

2012年には、更にファームウェアのアップデートによりバッファがRAW23コマと大幅に増加となり更に魅力を増しています。EOS-1D系以外でバッファが20コマ以上になるのはキヤノンのカメラでは初であり、新品でも価格が10万円を切っていることから初心者から上級者まで全ての野鳥カメラマンにオススメできる製品に仕上がっています。ここまで完成度が高いと、”更なる高感度画質の向上”と”5DMark3で採用の61点AF”くらいしか次のモデルに要求される要素がないようにすら思えます。

 

 

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